病院のご案内

ご挨拶

兵庫県立淡路医療センター
院長 鈴木 康之

兵庫県立淡路医療センターは兵庫県2次医療圏のひとつ、淡路圏域で唯一の急性期総合病院です。29の診療科が最新の診断機器・治療機器を駆使して島内完結の診療を目指しています。当センターは旧兵庫県立淡路病院が2013年に新築移転され、現在の名称に変更されました。県内では最も早い2001年に「地域医療支援病院」の指定を受け、圏域内の10の病院、100を超える診療所・医院と機能分化し、地域医療支援ネットワークシステム「あわじネット」も導入して常に連携しながら、精力的に診療を進めてきました。2007年には国指定の「地域がん診療連携拠点病院」、2013年には「地域救命救急センター」の指定も受けています。精神科病床、感染症病床など含め441床を有し、厚生労働省の第8次医療計画にある代表的な5疾患(がん、心血管疾患、脳卒中、精神疾患、糖尿病)6事業(救急医療、災害医療、周産期医療、小児医療、へき地医療、新興感染症対応)の全てに対応しています。特に救急医療は年間8,000~8,500人の患者様を受け入れ、原則断ることはありません。がん医療、血管内治療、内視鏡治療などの高度専門医療が多いですが、安全・良質な医療を展開しています。

淡路圏域は高齢化率38%を超えるため、地域包括ケアシステムの推進支援も重要で、診療後は患者様を居住地域に帰すため、入退院支援センターが地域の医療機関や福祉施設と連絡を取り合い、医療・介護の調整をしています。また、淡路圏域は四方を海で囲まれた半閉鎖地域であるため、災害医療体制を整備しておくことも重要な課題です。ハード面では地下に免震装置、正面玄関には駆動式の防潮堤、屋上にはヘリポートを完備し、ソフト面では17名のDMAT隊員が毎年数回の災害訓練を行っています。当センターDMAT隊員は能登半島地震でも活躍しました。淡路地域危機管理責任者会議や医師会主導の救急災害委員会などで定期的に災害医療体制の整備を進めています。

さて、当センター最近のニュースとして、「働きがいのある病院2025」で全国20位に選ばれ金賞をいただきました。まだ至らないところはありますが、医師や看護スタッフはじめ全職員が、患者さん中心のより良い病院づくりに努力しています。診療では、大腸がん、肺がん、子宮の一部の疾患に対して2023年よりロボット手術が始まり、また2025年は最新型のロボットに更新され、実施数も着実に増加しています。患者様にとっては体の負担が少なく、精密な操作が可能で出血も少ないなどが長所です。また2024年末に最新機能を有するリニアック(放射線治療装置)が導入され、副作用が軽減され治療効果が高いがん治療の選択肢が増えました。また2024年に3室完備の血管造影室のうち一つが更新され、不整脈や血管病変に対する心血管内治療がさらに活性化しています。産科では妊婦様のご希望により、助産師が外来から出産まで主体的に係る院内助産が可能です。常に産科医師がバックアップしており、すでに30件ほど院内助産による安全な分娩が行われました。当院でのお産の詳細については、このホームページでご案内しています。

2024年から始まった「医師の働き方改革」は、これまで過重労働により医師が心身の不調をきたすことがあり、そのため医療安全面も不安視されていた課題を改善する目的の改革です。しかし、高度医療を必要とする患者様へ医療提供レベルを落とさないようにするには、多くの患者様やご家族のご理解とご協力が必要です。例えば、病状の安定した患者様には、まずはかかりつけ医の受診をお勧めしてします。また、緊急時を除き病状や治療法の説明は平日時間内にさせていただいています。休日や夜間は主治医以外の医師が診療にあたることも増えています。ご不便をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

当センターの現在の課題は眼科の常勤医師不在です。眼科診療は近隣の眼科医院にご協力いただいていますが、住民の皆様にご迷惑をおかけしており心苦しいところです。早く眼科診療を復旧させないといけません。また、社会経済情勢が急速に変化し、医療材料費の高騰、運営経費の増加などで病院運営も厳しさを増しています。環境は変化しても、今後も変わらず地域の中核病院として、圏域内の医療機関と連携して自らの使命を果たしていきたいと思います。各科の診療内容は淡路ケーブルテレビにご協力いただき、病院ホームページからオンデマンドで紹介していますので、ぜひ一度ご覧ください。

2025年8月1日

兵庫県立淡路医療センター
院長 鈴木 康之