病院のご案内

ご挨拶

兵庫県立淡路医療センター
院長 鈴木 康之

兵庫県立淡路医療センターは新築移転から10年が経過しました。これまで淡路圏域の中核病院として「良質・安全な医療を提供し地域に貢献する」ことを基本理念として運営してまいりました。淡路島には756床の一般病床がございますが、その半数が当センターに配置されており、急性期医療で果たすべき役割が極めて高い施設となっています。しかし、高齢化が進んだ圏域ですので、診療の前後において他の医療機関や施設との連携・協力は非常に重要です。地域連携室や入退院支援センターが中心となって、患者様一人ひとりが安心して自宅や地域に帰るため、必要な診療連携を日々進めています。

当センターを改めて紹介いたします。地下に免震装置、屋上にヘリポートを有する8階建てで、増加する高齢患者様に配慮して1階に外来機能を集約し、6~8階の病棟では内科系・外科系の緊密な連携を目的に、臓器・疾患別の病棟体制を取っています。当センターには29の診療科があり、最新の診断・治療機器を駆使してがん治療、各種の外科手術、血管内治療、内視鏡検査・治療、放射線診断、PET検査など、高度で専門的な診療を行っています。医療の質向上のため、画像診断や病理診断は大学病院や他の県立病院などとネットワークを組んでおり、難しい疾患も多数の医師が遠隔で議論することで、より正確な診断に結びつけています。

救急医療も当センターの大切な使命であり、地域救命救急センターでは年間約7,000人の救急要請に対し「断らない救急医療」を続けています。緊急CT・MRI画像などは夜間や休日でも在宅放射線科医師が遠隔診断でき、迅速な救命救急治療ができる体制を組んでいます。

新型コロナウイルス感染症に関してはインフルエンザ感染症と同等の5類に引き下げられ、淡路圏域の他の医療機関でも入院治療ができるようになりました。重症度や基礎疾患の有無や程度によっては、引き続き当センターで積極的に患者様を受け入れてまいります。感染拡大により、今後も通常の診療を制限せざるを得ない状況が発生するかもしれませんが、その都度状況に合わせ最善の対応をしてまいりたいと考えています。

さて、最新のニュースとしては、導入が遅れましたがロボット手術が始まりました。前立腺がんにはすでに問題なく行われており、今後は大腸がん、子宮がんでロボット手術が増えてくると思われます。より体にやさしい手術ですが、詳細は担当医の説明でご確認ください。また、がん治療に必須の放射線治療装置(リニアック)が年末には更新される予定です。従来機器と比べて副作用を軽減し、より有効性が高い高度な放射線治療が可能になります。難治性の膵臓がんには術前から新規抗がん剤を投与する臨床試験が進んでおり、すでに10名の患者様が手術を受けました。膵臓がんも治る時代になってきました。心臓外科では小開胸による体にやさしい手術も積極的に取り入れ、安全に行えています。この治療は入院期間の短縮にも繋がっています。2021年から始まった院内助産も順調に増加しています。産科医師が待機して行う助産師主体の外来診察と分娩です。院内助産で出産された方から好評を得ていますし、院内助産を希望する方も増えています。

ウクライナ戦争の影響は、物価高、エネルギーや建築資材の不足、一部の医療機器部品や診療材料の不足など医療にも暗い影を落としています。厳しい環境もございますが、職員一同、使命感と責任感をもって真摯な姿勢で地域医療に貢献していく所存です。そして可能な限り島内完結の医療を目指していきたいと考えています。

2023年7月27日

兵庫県立淡路医療センター
院長 鈴木 康之