病院のご案内
ご挨拶

兵庫県立淡路医療センター
院長 久島 健之
変わらぬ使命と進化する機能
院長に就任した久島健之(くしま たけゆき)と申します。私は前身である淡路病院に20数年前に赴任し、放射線科医として主に悪性腫瘍の診断と治療、中でも放射線治療を専門に手掛け、淡路で診た患者さんはすでに7千人を超えました。私は医師免許をもらってからおおよそ40年になりますが、当院の齢はそれをはるかに上回ります。医療センターの前身である兵庫県立淡路病院は、1956年に洲本市下加茂に開設され、当初は5診療科・100床(一般)・45床(伝染病)、職員64人で診療が始まりました。以後、約70年にわたり、日本の高度成長期・バブル期・沈滞期・政治の混迷の中を、当院は診療と規模の拡充を進め成長を続けてきました。
2013年には洲本塩屋に新築移転し、旧病院とは比べるべくもない見目麗しい建屋になり、兵庫県立淡路医療センターと改称しました。私の中で旧病院の記憶は薄れつつあります。2026年4月現在、当院は26診療科・441床(許可病床)・職員980人と、県下でも有数の機能を有する急性期総合病院に成長しました。個人的には、少し大きくなりすぎた感もあります。スリム化して筋肉質になる方が良いかもと考えています。病院も私の体も。
♪♪当院はDPC特定病院です♪♪
日本には8千を超える病院があります。(病院とは20以上の病床を有する施設のことです)。急性期入院医療を対象とした診療報酬の包括評価制度(DPC)の対象となるDPC病院は、日本全体で1,680あります。最も高度で先進的な医療を提供するDPC大学病院附属本院が82施設、大学病院に準ずる高度な医療機能を有すると認定されたDPC特定病院が172施設、その他の1,432施設がDPC標準病院に認定されています。当院は、いくつかの要件や実績を充足しておりDPC特定病院に認定されています。単に認定されただけではだめで、淡路においては当院が大学病院に準ずる医療を提供するという役割を付託されていることは肝に銘じなくてはいけません。
DPC特定病院であるという使命を十全に果たすべく、その機能として、いくつかの大きな看板があります。その看板について簡単にお話します。
【地域救命救急センター】
24時間の受け入れの体制と専用病床を有し、地域救命救急センターに指定されています。10数年前は、年間に1万数千名の救急受診があり、救急とは言えないコンビニ受診などが多く、本来の救急医療に支障を来す事態もみられたために医師会・行政などを通じて適正な救急受診を啓発した時期もありました。現在は、市民の意識も変わりほぼ適正な受療行動に落ち着きつつあります。2025年度、当院の救急部は8,264人と多くの受診者を受け入れました。その内、手術などの入院医療が必要な2次救急患者は2,871人、生命にかかわる緊急重篤な病態の3次患者850人、救急車搬送受け入れ3,904人とがんばっています。
【地域医療支援病院】
地域医療の扇の要として、圏域の診療所・医療機関を支援しています。患者さんの紹介・逆紹介の推進は勿論のこと、当院のCT/MRI/PETCTや放射線治療機器などの高額医療機器を有効に活用すべく当院に検査や治療を依頼いただいています。
また、ICTを活用して当院の診療情報を、登録参加されている医療機関からオンライン参照できるシステムを構築しています。このシステムを「あわじネット」と呼称し、参加同意をいただいている患者さん(現在の登録約1万5千人)の当院の電子カルテ内の特定情報(血液検査結果・投薬処方内容・治療のサマリー・一部の画像dataなど)を、参加している47の医療機関からオンライン閲覧できる仕組みを運用しており、月に1万数千件前後のアクセスがあります。
【がん診療連携拠点病院】
私が学生の頃に読んだ「白い巨塔」で描かれていたのは1960年代のがん医療と人間関係。医療界の人間関係はともかく、現代のがん医療はこの60年で劇的に進歩しています。従来の3本柱、外科手術・抗がん剤化学療法・放射線治療に加え、最近はがん細胞にまつわる免疫応答のシステムの解明が進み(本庶佑先生のノーベル賞受賞分野はこのお仕事です)これを応用した薬や、新しい核医学物質を体内に投与する治療などが標準的ながん診療になっています。少し前は限られた医療機関のみで提供されていた先進的医療が、数年すればがん診療拠点病院において日常的に提供できるようになっています。当院のがん診療に係るスタッフは、常に研鑽し新しい知識を習得し、病院全体のがん診療のレベルの維持に努めています。症例によっては、もっとも適切な治療が受けられる特定の施設へ患者さんを紹介し、最善の診療の機会を提供することを努めています。
【臨床研修指定病院】
毎年十数名の初期臨床研修医を受け入れています。免許を取ったばかりの若葉マークのドクターのみならず、新卒の看護職・医療技術職者は正しい医学知識、医療技術、倫理観、医療人としての思考論理性と社会人としての素養を身につけ、そして羽ばたいていきます。いつの日か、また舞い戻って欲しいのですが、簡単にはいきません。優れた医療人・社会人を育成教育することも当院の使命です。
【災害拠点病院】
我々、兵庫県民は、阪神・淡路大震災という大変に辛い経験があります。30数年を経た今も心の傷が完全に癒えたとは思っていません。その後も東北、熊本、能登など、日本は頻回に地震に苦しめられています。南海トラフ大地震は、近い将来に必ず起こる既定事実として認識されつつあります。いずれ来る災害においては、当院は一義的な災害医療を提供する義務があります、市民の身体と心の被害を最小限にすべく医療を提供しなくてはなりません。毎年、院内で災害訓練は行っていますが、日々災害に対する緊張感を持ち続ける必要があります。
♪♪♪♪
以上、当院の主だった大看板・社会的役割について簡単に説明しましたが、これ以外にも社会から託された当院の役割と機能は多岐にわたり、ここでは記しきれません。
日本中の多くの急性期総合病院と同様に、我々も非常に厳しい財政状況の中にあります。医療材料費・人件費・諸物価・光熱水費の著しい上昇。それに呼応しない診療報酬。そして、現在の不安定な社会情勢。個々の病院の経営努力と工夫では、如何ともしがたい実情があります。
それでも、それでも淡路医療センターの使命・役割・機能、今後も何一つ変わることはありません。実直に診療を続けていくしかありません。質の高い医療を提供していくだけです。
基本的に病院に来ることがないのが幸せなのですが、もしもの時は淡路医療センターが在ります。
2026年4月
兵庫県立淡路医療センター
院長 久島 健之
