診療科・センター・部門

泌尿器科

概要・特徴

1) 尿路:腎、腎盂、尿管、膀胱、尿道など
2) ホルモン分泌に関係する臓器:副腎、精巣、前立腺など
3) 男性生殖器:前立腺、陰茎、精巣、精巣上体、精管、精嚢など
が関わる良性、および、悪性疾患を扱っております。

対象疾患

尿路結石症

腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石

悪性腫瘍(がん)

副腎癌、腎癌、腎盂・尿管癌、膀胱癌、前立腺癌、尿道癌、精巣癌、後腹膜悪性腫瘍

良性腫瘍

腎嚢胞、腎腫瘍、前立腺肥大症、尿道脱

感染症

急性腎盂腎炎、腎膿瘍、膀胱炎、精巣上体炎、前立腺炎、尿道炎、後腹膜膿瘍

排尿障害

神経因性膀胱、過活動膀胱、前立腺肥大症、尿道狭窄症

外傷

膀胱破裂、尿道損傷、尿管損傷、腎損傷、陰茎外傷、陰嚢外傷

などがあります。

症状、疾患に対して、いろいろな質問票、問診、検査を行い、生活指導、投薬加療、手術加療などの治療方法を検討し、患者さんとともに治療方針の決定を行っております。

診断(検査)

質問票・問診票

初診時に記入していただく問診票の他に、「尿の勢いが弱い」「尿の回数が多い」「排尿に時間がかかる」「尿がでにくい」などの排尿症状に関して、症状スコア表(IPSS、 OABSS、 N-QOL、 排尿QOLなど)、排尿日誌を、診察時にお渡しすることがあります。それを参考として、排尿状態の確認や治療効果判定を行っております。

超音波検査

副腎・腎・尿管・膀胱・前立腺・精巣の形態確認のために、低侵襲検査のひとつである超音波検査を行っています。
腎:結石、腫瘍、腎盂・尿管拡張、腎静脈拡張の有無などを確認します。
膀胱:結石、残尿、腫瘍、などを確認します。
前立腺:大きさ、膀胱内への突出、腫瘍、前立腺周囲血管の拡張を確認します。
精巣:精巣内の血流、腫瘍、精巣周囲の液体貯留、などを確認します。

残尿測定検査

従来は、尿道から膀胱までカテーテル(細い管)を挿入することで膀胱内にたまっている尿を回収し、その量を測定することで残尿量を測定していましたが、当院では超音波を用いた測定器(図1)を使用し、体外から残尿量の計測を行っております。

図1 残尿測定器(ブラダースキャン)

尿流動体力学検査

膀胱壁の進展具合、および敏感さを調べることで膀胱機能(特に蓄尿機能)を確認する検査です。
尿道から膀胱内に細い管(尿道カテーテル)を挿入し、生理食塩水を膀胱内に注水しつつ膀胱内圧測定を行います。検査中の膀胱内の圧変化を測定することで、膀胱壁の弛緩、あるいは収縮状態を確認します。頻尿、尿失禁、あるいは排尿困難の原因を調べるときに行われます。

尿流量検査

尿の勢いをグラフ化(グラフの傾きが勢いを表します)することで排尿状態を視覚化しています(尿の勢いは排尿量に比例します。排尿量の少ない場合には尿の勢いは正確にはグラフに反映されません)。正常な排尿状態(図2)、あるいはm尿がとぎれがちな排尿状態(図3)が、グラフで表されます。

尿路系レントゲン検査

KUB(腎-尿管-膀胱部レントゲン検査)
名前のごとく、腎(kidney)、尿管(ureter)、膀胱(bladder)の撮影を行います。腎腫大、結石などを確認します。

IVP(排泄性尿路造影検査)

体の中での尿の通り道(腎盂-尿管-膀胱)の確認を行います。尿自体をレントゲンに写るようにするために、造影剤の静脈注射を行います。通常の腎機能であれば、注射後すみやかに腎から造影剤が排出されます。造影剤はレントゲン写真に写るため、造影剤の混じった尿もレントゲン写真に写るようになります(図4)。これにより、腎盂、尿管、膀胱の形態を確認します。尿管拡張の有無、結石、尿管腫瘍の診断が可能となります。

図4

RP(逆行性腎盂造影検査)

腎機能の低下した患者さん、または前述のIVPにて尿路系の描出が不十分な場合に行われます。
尿道から膀胱内に内視鏡を挿入し、尿管口を確認します。尿管内に細い管(直径2mmほどのカテーテル)を挿入し、造影剤を注入します。尿管内腔を造影剤で満たすことで、尿管-腎盂の形態をレントゲン写真に写るようにします。また、その際に尿管内、あるいは腎盂内の尿を採取することができるため、腫瘍、または感染の診断に対して有効な検査です。

  • 図5 検査台

  • 図6 検査時の膀胱内

  • 図7 検査時のレントゲン写真

膀胱鏡検査

血尿、排尿障害、尿混濁、など症状がある場合に、膀胱内病変の確認目的に行われます。従来は、金属製の硬性膀胱鏡を使用しておりましたが、現在では、尿道走行に沿うように挿入できる電子スコープ軟性膀胱鏡を使用しています。膀胱結石、膀胱腫瘍、膀胱壁の肥厚程度、膀胱壁の肉柱形成(膀胱の筋張った状態)、あるいは前立腺部尿道の形状を確認します。

  • 図8 膀胱鏡検査台

  • 図9 軟性膀胱鏡

前立腺生検術

前立腺癌の診断目的に行われます。一般的に前立腺癌の診断には、血液会検査(PSA:前立腺特異抗原)、直腸診(触診)、エコーあるいはMRIによる画像検査が必要となります。それらに異常が認められ場合には、前立腺癌の組織診断を勧めております。
前立腺癌の治療方針決定の際には、癌の存在だけではなく、その拡がり(どの部位に癌が存在するか)、および細胞形態確認により判断される悪性度(Gleason Score:グリーソンスコア)が必要とされます。そのため、組織の採取(生検)が必要となります。
当院では、エコープローベを肛門から挿入し、超音波画面にて前立腺の確認を行いながら、前立腺に針を刺し(12カ所ほど)、組織採取を行っています。穿刺にて出血、排尿障害、および感染を生じる可能性があるため、入院での組織検査を行っています。通常、一泊二日の入院にて施行しております。

治療

投薬治療

1) 急性腎盂腎炎、膀胱炎、急性前立腺炎、急性精巣上体炎などの急性感染症、あるいは神経因性膀胱、前立腺肥大症などの排尿障害に対して、投薬による加療を行います。疾患の原因によっては、投薬だけではなく、その原因に対する加療も必要となります。

2) 尿管結石による急性腎盂腎炎:尿管ステント、あるいは腎瘻カテーテルによる尿流出路を確保し、抗生剤投与を行います。

3) 残尿が原因の膀胱炎:尿道カテーテル、あるいは導尿による尿流出路の確保を行い、抗生剤投与を行います。

4) 排尿障害:前立腺肥大症、あるいは種々の神経障害により生じた神経因性膀胱あるいは、尿意切迫感が主な症状である過活動膀胱に対して、原因とその症状に応じた投薬を行っています。頻尿に関しては、原因を突き止めることが重要であり、また、その原因に対する投薬を行っても効果発現まで時間を要することがあります。投薬による効果が不十分な場合には、手術治療、あるいは自己導尿などが必要となります。

手術治療

1) 経尿道的手術(膀胱腫瘍、前立腺肥大症、腎・尿管・膀胱結石の治療)

(1) 膀胱腫瘍:経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-Bt)
全身麻酔、あるいは腰椎麻酔下で、内視鏡を尿道から膀胱内に挿入し、膀胱内の腫瘍を直径7mmほどの半円形の電気メスにて切除します。膀胱の筋層の深さまで切除します。術後、最出血予防目的に尿道カテーテルを3-7日間留置します。

(2) 前立腺肥大症:経尿道的前立腺レーザー核出術(HoLEP)
全身麻酔、あるいは腰椎麻酔下で、内視鏡を尿道から前立腺部尿道、および膀胱内に挿入し、前立腺内部をレーザーで焼きながら、水圧にて前立腺の肥大部分(内腺)を核出(くりぬき)します。従来から行われていた経尿道的前立腺切除術(電気メスでの切除:TUR-P)に比べて、出血量が少ないこと、術後の排尿状態の改善が早いことが特徴です。なお、術後1-3ヶ月程度は、尿失禁(腹圧性)が生じることがあります。

  • 図10 経尿道的前立腺レーザー核出術(開始時)

  • 図11 経尿道的前立腺レーザー核出術(前立腺剥離時)

(3) 腎・尿管・膀胱結石:経尿道的尿路結石除去術(TUL)
全身麻酔、あるいは腰椎麻酔下で、内視鏡を尿道から膀胱、さらに尿管内に挿入し、結石を確認しながら、砕石器具、あるいはレーザーにて砕石し、破砕片を回収します。腎盂・尿管結石の場合は、尿管粘膜のむくみ(浮腫)による尿流出障害を予防するため尿管ステントを術後3?14日間留置します。尿管ステントの種類によっては、留置したまま退院していただき外来受診時に抜きます。

  • 図12 尿管結石でのTUL

  • 図13 膀胱結石でのTUL

  • 図14 膀胱結石でのTUL

2) 腎・尿管結石:体外衝撃波結石破砕術(ESWL)

腎結石、尿管結石の治療です。レントゲン、または超音波にて結石の位置を確認し、焦点を合わせた後に体外から結石に向かって衝撃波を発射し、結石自体を振動させることで砕石します。結石の位置によって、背部、あるいは腹部から発射します。1秒間に1回の衝撃波の発生を行い、3000~4000発の発射を行います。砕石効果は、レントゲン写真で確認します。手術前と手術翌日にレントゲン検査(KUB)にて、結石変化を確認しますが、すぐにレントゲン写真上に効果の見えないこともあり、退院後の外来再診日にて再度レントゲン検査を行い、砕石効果の再確認を行います。腎保護のため、通常1回/3-4週間での治療が薦められています。

  • 図15 ESWL機器

  • 図16 レントゲン写真(砕石治療前)

  • 図17 レントゲン写真 (砕石治療終了後 (複数回施行後)

3) 腎・尿管・副腎疾患に対する腹腔鏡手術

腎腫瘍、腎盂・尿管腫瘍、副腎腫瘍に対しては、できるだけ低侵襲な腹腔鏡手術を行います。腹腔鏡手術は手術の傷が小さく術後の回復が早いだけではなく、拡大視野で手術を行えますのでより繊細な手術が行えます。腹腔鏡手術に習熟した医師が行うことにより、開腹手術と比べ出血量や合併症も少なく、手術時間も長くはなりません。

4)腎温存手術

比較的小さい腎腫瘍(径4cm程度まで)や腎機能の悪い方の腎腫瘍に対しては、腎機能をできるだけ温存できるように腎部分切除術を行います。腎機能を温存することにより、透析が必要となる可能性を減らせるだけではなく、慢性腎不全による合併症が起こる可能性を減らすことができます。また、腫瘍の位置や全身状態にもよりますが部分切除もできるだけ腹腔鏡で行い、体への負担を減らすことができます。

5) 腎・尿管・膀胱・精巣に対する開腹手術

周囲臓器へ浸潤した腎癌、腎盂・尿管癌や浸潤性膀胱癌、前立腺癌、あるいは精巣腫瘍などの、尿路・男性器腫瘍に対して、腹部切開(開腹)による摘出術を行います。

6) 前立腺癌治療(生検、内分泌療法、放射線治療、抗癌化学療法、開腹手術)

最近、前立腺癌の罹患率の上昇がいわれています。前立腺癌の治療は、年齢、癌の浸潤度、悪性度(Gleason Score)、年齢、そして、患者さんの希望にて選択されます。
手術治療である前立腺摘出術、放射線治療である小線源治療(放射線物質を前立腺内に埋め込む)”、IMRT(前立腺の形態に合わせた照射)、粒子線治療、は、限局性癌に適応となります。進行癌(前立腺の最外側まで拡がった場合)では、内分泌療法(男性ホルモン抑制治療)、外照射治療(骨盤全体に照射する)、あるいは、その併用療法が適応となります。
患者さんとも相談しつつ、治療方針の決定を行います。

診療実績

入院患者数、および、その内訳

手術件数、および、その内訳

入院患者数、および、その内訳

前立腺・膀胱の内視鏡手術