診療科・センター・部門

呼吸器外科

概要・特徴

当院では呼吸器領域疾患の診断から治療までを呼吸器外科、呼吸器内科、放射線科、病理診断科が密接な連携の下で行い、4大療法と呼ばれる手術、化学療法(抗がん剤)、免疫療法、放射線療法をどのように組み合わせるべきか標準治療を考慮しながらお一人お一人に応じた提案をしています。
その中で呼吸器外科では原発性肺がんの手術と内服抗がん剤による術後化学療法を中心に、転移性肺がんや気胸の手術などに幅広く対応しています。

地域医療機関の先生方へ

呼吸器外科では初診外来を月曜と木曜の午前中に行っておりますが、色々な疾患で通院中の患者さんに偶然胸部陰影を認めた、検診で陰影を指摘されたなど腫瘍に限らず精査をご希望の場合、呼吸器外科、呼吸器内科いずれを窓口にしていただいても当院内で集学的に診療を進めさせていただきます。また気胸や膿胸に関しては手術適応になるかどうかの判断を含めて初期から検討させていただきますので上記外来診察日に限らず早期にご相談ください。緊急時には電話でご相談いただければできる限り対応させていただきます。
また胸部疾患に関してのセカンドオピニオンも承っております。受診の際は患者さんに予約をお取りいただき、もし可能であれば予め画像、臨床データなどをファックスか郵送でお送りいただければ事前に当院で検討の上、お話させていただきます。

肺がん

肺がん手術の約70%は胸腔鏡(カメラ)を用いて小さな傷で行い、I A期の特に小型(直径2cm以下)の早期がんには肺機能を温存する縮小手術を積極的に進めてきた結果、肺がん手術の平均入院期間は高齢者を含めても現在約10日と短くなっています。I B期(直径3cm以上)には手術後UFTという抗がん剤を2年間外来で内服して再発を抑制します。II期・III期では手術後1ヶ月程度経過してから3ヶ月間程度補助化学療法(抗がん剤による再発予防)を行います。また適応例にはさらにその後、免疫療法や分子標的剤による再発予防のための治療を継続します。術前の腫瘍や転移の状態によっては縮小と完治率の向上を目的として手術前に免疫化学療法による治療を行なった後に手術を行っています。
また今年度からロボット(ダ・ヴィンチ)支援肺悪性腫瘍手術を開始します。
ロボット支援手術とは、術者が患者さんの隣に置いたコンソール(コクピット)に座り、ペイシェントカート(ロボット)を操作して行う低侵襲手術のことです。胸腔鏡下手術と同様に、胸に小さな穴をあけて、カメラで胸の中を観察し、細長い鉗子を用いて手術を行います。
胸腔鏡下手術ではカメラも鉗子も人が持って操作しますが、ロボット支援手術ではロボットの4つのアームが操作をします。
ロボット支援手術には、胸腔鏡下手術と比較して以下のような利点があります。

1 高画質な3D画像の拡大視
2 多関節の鉗子による複雑な鉗子操作
3 手振れ防止機能

以上の利点によって、より精密な手術操作が可能となり、出血量が少なくなる、在院日数が短くなるなどのメリットが報告されています。
肺がん領域では2018年より保険適応となっており、2024年現在、患者さんの負担額は胸腔鏡と同じです。
一方、手術・麻酔時間がかかる、緊急時の対応(開胸移行)に時間がかかるなどのデメリットもありますので、当院では患者さんの病態に合わせて開胸手術、胸腔鏡下手術、ロボット支援手術のうち最適と思われる術式を提案します。

  • サージョンコンソール

  • ペイシェントカート

自然気胸

肺の表面に袋状の破裂しやすい変化(ブラ)が発生し、ここから空気が漏れて肺がしぼんでしまう病気が気胸です。外傷など明らかな破裂原因の無い気胸を自然気胸と呼び、気胸の多くがこのタイプです。軽度の気胸はそのまま様子を見ることで自然に回復しますが、大きくしぼんでしまった場合は局所麻酔で胸の中に管を入れて空気を抜いて改善させます。以前はすべて入院が必要でしたが、最近では通院で治療することもあります。気胸を繰り返す場合や漏れが止まらない場合、手術が行われます。多くの手術は胸に3カ所の穴を開けて胸腔鏡で行われ、手術後2-3日で退院となります。

膿胸

肺炎からの炎症の波及、もしくは原因によっては初期から肺や胸壁を覆っている胸膜が感染を起こし(胸膜炎)、滲出した胸水にさらに感染が継続することで胸腔内に膿がたまります。淡路島では誤嚥性肺炎から膿胸への進展が人口比で非常に多い傾向にあります。初期の段階では気胸同様ドレナージで保存的に改善が計れますが、発症後1週間を過ぎた頃から徐々に困難となり、手術が必要となります。これも比較的早期であれば3ヶ所の穴を開けて胸腔鏡で洗浄が行えますが3週間を越えると開胸手術が必要となってきます。

地域連携

肺癌の手術後は患者様の病院通院にかかる負担をできるだけ減らし日常の健康管理を充実させるために標準的な計画(クリティカルパス)に則った地域医師(かかりつけ医師)との連携を重視しています。肺がん術後地域連携数は淡路島の多くの医師のご協力により平成22年の開始以後累計330件以上となっています。

専門医教育

当該分野専門医を育成する教育機関として外科専門医の呼吸器外科部門を担当する他、呼吸器外科専門医・認定修練関連施設の一つとして若い呼吸器外科医の育成に努めています。

診療実績

2021年度~2023年度 呼吸器外科手術 235件

原発性肺癌手術143件
転移性肺癌手術18件
縦隔腫瘍手術11件
気胸手術35件
膿胸手術5件
その他23件

(文責:副院長 兼 呼吸器外科部長 松岡英仁)